10年先を考える
今の仕事、満足できていますか?
私が電験三種を取得しようと思い立ったのは、仕事で徹底的に追い詰められてからでした。
もともと設備保全として機械の修理を任されていた私ですが、新設備導入のトラブルに巻き込まれてうつ病になってしまったんですね。
さしたる学歴もなかった私は、今の会社を辞めても別の場所にいく宛もない・・・と考え、無理にブラック企業にしがみついてしまったんですね。
というのも、前の会社で三交代勤務をして体を壊した後、再就職までに一年かかった経緯があるからです。
時代は就職氷河期で、私のように若いけれど技術を持っていない人で、会社を2年で辞めているような人はお呼びではなかったんですね。面接にすらたどり着けないような状況が長く続きました。トイレの清掃員の仕事すら断られる有様でした。それ程、就職氷河期の転職というのは難しい時期だったんです。
やっと転職先を見つけたのですが、手取り12万ほどの町工場の仕事をやっと見つけた状態でした。
そんな状態でその会社に入ったので、「次を探すことは難しいだろう」と思っていたんですね。けれどもうつ病でもう体は動かない、どうしようもない・・・という状態に追い込められて、初めて「人生が順調なうちに資格を取っておけばよかった」と心の底から思ったんですね。
その仕事ははじめは良かったのですが、設備の導入の仕事で生産技術として働き始めると、休む暇もなく働き続けなければならない状態になりました。いつしかサービス残業が常態化していったんですね。設備導入のトラブルが生じ、いろいろな失敗を重ねるうちに職場に居場所がなくなり追い詰められていきました。もうだめだと思うようになってから、あぁ資格の一つでも取っておけばよかったなぁと後悔したんですね。
これが私の電験三種受験のきっかけとなった出来事です
追い詰められてから努力したのでは遅い
電験三種は2~3年かかってやっと取得する、というのが普通のようです。
長く試験に合格できず、10年以上かかっている人もいるようですね。
某所ではこれを「電験スパイラル」と読んでいるようです。
電験三種の科目合格は3年で消えてしまうので、毎年1科目ずつ合格していたのでは一生取れない。
これを繰り返す事を「電検スパイラル」と読んでいるようなのです。
幸いなことに私は電験スパイラルを経験せずにすみましたので、その後の転職活動は割とスムーズにいきました。まぁその時は電気主任技術者の専任ではなく電気作業員のお仕事でしたので、単に「電気の知識がある」ということの証明にしかならなかったのですが・・・。
実際、私もエネルギー管理士の資格でスパイラルを経験しました。あと1科目が取れれば合格というところで惜しくも合格を逃し、悔しい思いをした経験があります。エネルギー管理士は転職で優位に働くというケースはあまりなく、 大規模工場への転職で役立つかな?といった程度でしたので実害はほぼなかったですが。
もし、私がどうしても今の仕事が嫌で転職したい、けれども資格がないから電験三種をなんとしても取得したい・・・という危機的な状態だったとして、試験に滑ったら、もう目も当てられませんね。
私のように人生が危機的な状況に追い込まれてから努力したのでは、遅いのです。普段から余裕のあるうちに「もしかしたら今の仕事が続けられないような状態になるかもしれない」という危機感を持ち、リスクヘッジのためにいろいろと考えておくべきでした。
例えば資格取得や貯金、副業などなどやれることはたくさんあったはずなんですね。
逃げられない状態は死ぬほど苦しい
けれども私は絶望的な状態に追い込まれるまでなにもしなかった。だから、私は苦しい境遇に追い込まれていても会社を辞めることができず、心に重い傷を負うまで働き続けなければならなかったわけです。
そのころに追った深い心の傷は、10年が経過した今でも癒えていません。ふとしたことであの頃を思い出し、動機息切れが始まるパニック障害の発作が出ますし、たまに夢を見ると大抵決まってその会社で仕事をする夢だったりします。
こんなに追い詰められてから動いたのでは、取り返しのつかない傷を負ってしまうんですね。
私は航空業界にいた・・・が
2021年現在に追記していますが、コロナウイルスの蔓延による既存の社会構造の破壊がすごい勢いで進んでいますね。飲食店や旅行業界は大打撃・・・この辺の業界は電気主任技術者にとってはあまり関係のない分野ではありますが、製造業・航空産業・車業界もかなりのダメージを受けていることを考えると、うかうかしていられないというのが実情です。
特にコロナウイルスによる「三密」の規制により、下手をすると資格試験すら延期になってしまう恐れだってあるわけです。試験会場は密以外のなにものでもないですから。だからこそ「このような状態になる前に早く準備しておけ」と繰り返し書いていたんですね。
私はかつて航空業界に在籍していたんです。そこで電気の作業員として下請けの会社で仕事をしていました。とにかく親会社の社員から虐められました。親会社の社員と下請けの会社の社員とが同じ職場で仕事をするというのは、非常に辛い境遇でした。
ですがそんな惨めな境遇だったことと、かつて資格を所有していなかったために悲惨な境遇に追い込まれた経験から、私はその会社に入社後も勉強をやめませんでした。
結果、私は第二種電気主任技術者の資格を取得して、数度の転職をし、現職へと至ります。現職はコロナの影響を全く受けていない稀有な業界の一つです。
努力にかけた時間はトータルではリターンになることも
あなたは人生の全てを電検にささげる事ができますか?
一日2時間勉強していくとして、3年なら
2時間365日3年=2190時間です。
そんな莫大な時間を電検に取られてしまう訳です。
ですが、私の今の境遇は会社に行ってもほとんど仕事もせず、毎日30分ほどパソコンを操作し、軽い点検をして終了です。それで結構な量のお金がもらえる仕事です。
若いころ手取り12万で命をすり減らしながら必死に働いていた頃のことを考えると、馬鹿馬鹿しくなるほどです。
私は電験二種取得までに5000時間もの「人生の時間」を費やしました。若いころの時間の価値というのは年老いてからの時間とは価値が違うという考えもありますが、単純な時間分なら今の仕事に就いて既に取り返したと思っています。また給料面でも待遇面でも、若いころとは比べ物にならないほど豊かになりました。
このページの「今苦労するか、後で苦労するか」というのは、私にとっては「もっと早く苦労をしておけばあの悲劇は回避できたかな」という思いと、「あそこで一大決心をして電験にすべてを打ち込んでよかったなぁ」という二つの思いから来ています。
今苦しむか後で苦しむか
結局、「今やるか」「後でやるか」の違いなのです。
ならば死ぬ気で今やってしまった方がいい。
嫌な宿題を残すより、先にやってしまって際限なく遊ぶ方が気が楽というものでしょう。
電検は、必死になれば一年で合格できる資格です。
3年、4年、5年とダラダラ勉強するよりも、1年集中的に勉強して終わらした方が、絶対幸せです。
「今」努力をしましょう。
来年に期待する心は捨てるべきです。
ただし、電験を取得したから安泰、ではない
確かに電験は強力な資格です。ただ電験三種を取得している人は割といますし、電験二種といえど認定で取得している人は結構いるものです。なので新しい職場でも満足に仕事をできないと、はやり立場を追われてしまうという事態はあり得るんですね。
転職をするにしても、せっかくよい資格を取得しても次の仕事が悪い条件での資格ならば、何のために苦労して電験三種という資格を取得したのかわからないですよね。
そう、「いい条件で転職をする」ためには「転職のための努力」が必要になってきます。
もちろん今在籍中の仕事を頑張りながら、電気主任の地位を目指すという生き方も素晴らしいと思います。
ただ組織上の都合で電気主任になれないことも考えられます。同僚も電験を取得して、同僚との出世競争に発展するということも、十分考えられるんですよね。
なので電験を取得した後もエネルギー管理士の資格や電験二種などの高位資格を取得するよう努力を続けたり、転職活動のためのSPIの勉強をしたり、大企業に入社後のために英語を勉強してTOEICを受けたり・・・とやるべきことはたくさんあるんですよね。
「電験三種がゴール」ではないことは頭に入れておいたほうがよいでしょう。
こういうとなんだか希望がないなぁなんて考えられるかもしれませんが、今のご自分が置かれている仕事の労働環境が劣悪なら、電気主任になればかなり改善はすると思いますので、頑張ってください。
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