いまだ根強い人気の電験
三種の需要は高い
電験三種の需要はいまだに高いですね。この記事を書いている2020年10月時点でも、年収400万円前後で電気主任技術者としての仕事がありますね。
私は東海地方在住ですが、引っ越しが問題ないならば電験三種を取得して入れば愛知・岐阜・三重の東海三県でどこかかしらの仕事があるでしょう。
電験二種の場合、需要はさらに高まります。需要家の95%は電験三種(第三種電気主任)でカバーできますが、ある程度大きな工場となりますと電験二種(第二種電気主任)の資格が必要となります。電験二種は需要家の4~5%程度といわれていますね。
第一種電気主任ともなりますと、製鉄工場などの超大規模な工場や、電力会社での需要となります。電験一種の試験問題を見ていただいた方はわかると思うのですが、正直勉強で取得するのは現実的ではありません。これは認定で取得するものでしょう。
電験一種を認定で取得ともなりますと、やはり電力会社関係者が主体でしょうから、一般の人にはあまり縁がない事になりますね。
電験二種の仕事は急募だらけ
大規模な工場などの需要家が少ないとはいえ、第二種電気主任(電験二種)の需要はひっ迫しています。というのも昨今の再生エネルギー発電(太陽光・風力・バイオマス発電)で二種選任案件が増えたにも関わらず、二種の試験は超絶難易度のままで固定されているためですね。
また多くの需要家では専任者が団塊の世代で高齢となっているにも関わらず後継者が見つからないために、「はやく辞めさせてくれ・・・」という状態になっているようです。
私は二種を取得後に転職活動をしていましたが、数年同じ求人が出続けていることがザラにあります。それだけ二種電気主任の資格は需要が高いというわけですね。
電験三種とエネルギー管理士のセットが強い
電験三種を取得していればある程度の工場の電気主任として比較的安定した環境で仕事ができることになります。が、やはりある程度大きい工場ともなりますと、エネルギー管理士を数名置かなければならない状態が出てきますね。
こうなるとエネルギー管理士の免状もセットで持っておくと心強い。なので、電験三種取得後はエネルギー管理士(電気)に挑むのが自然な流れとなります。
私は電気主任の元でエネルギー管理の仕事を手伝っていました。主にパソコンから工場の電力量データなどを取得分析し、週報・月報として上にあげるという仕事でした。この仕事で培ったノウハウは今でも大変に役立っております。ExcelVBAを扱う仕事ならどーんと来い!です。
電験を使った転職には罠がある
電験を取得するということは「電気の知識レベルが一定以上ある」ということになります。資格を所有しているだけで電気のスペシャリストとして認定されるわけで、ある程度の知識がないと「なんだあいつは」という事態になってしまいます。
意気揚々と大企業の大工場に転職したはいいものの、実力が伴っておらず職場になじめなくて結局辞めてしまう、といった事態にはならないよう、普段から電気の技術に関しては知識を深めておきたいですね。
電験三種相当の職場だと電気の仕事はごく一部
電験三種を取得して電気主任として工場に入社したはいいものの、電気の仕事は全体の10%程度に過ぎず、他の90%は設備の保守メンテナンスや各種雑用ばかり・・・こんなはずではなかった、なんて思うこともあるかもしれませんが、これが現実です。
電験三種相当の需要家は多くの場合工場やビルなどですが、たいていの場合はやれ蛍光灯の玉替えだの壁の破損修復だの、道路が割れているから業者に他のだのといった仕事で仕様書をかかされ、図面を引いて業者に説明し、上から予算を取るための申請書を出し、ハンコレースをして・・・といった風に各種現場に頭を下げながら仕事をするのです。
電気主任としての仕事
電気設備の仕事は、
・新しい設備を入れたいから新たに変電所を作りたい、変電所の仕様書を作って業者に説明
・停電日前には各所の現場や事務所に停電連絡をし、頭を下げに行く
・設備トラブルで電気が来ない!ブレーカーが落ちていないか、絶縁抵抗はよいかメガー確認
・停電日は受電操作を行い、保安協会などに頭を下げつつ当日の点検作業の見回り
といった感じになります。当然土日出勤が多く、中々休みがとりづらい環境にあります。
また、休日でも電気設備の重大トラブルが発生したら、電力会社との調整の関係上、どこにいてもすぐに駆け付けなければならない辛さもあります。当然、遠方地への旅行は難しくなりますね。
電気主任と引退のお話
特に電験二種相当として大規模工場や発電所の電気主任に選任されると、代わりの人間が見つからないために、80歳近くになっても「代わりの候補者がいないから、どうか残ってくれ」と会社から頼まれるケースもあるとか。
しかし80歳にもなったら財産がないとか特別な事情がない限り、さっさと引退して余生を過ごしたいですよねぇ。
いったん選任されると、電気設備の異常時にはすぐに駆け付けなければならないため遠方地にも生きづらく、また週5日以上働くことを必要とされるケースが多いために、「週2日程度働いて小遣いを稼いで・・・」ということが難しくなります。
このお話は以前電気主任として二種需要家で働いているおじいさんからよく聞かされたお話です。
電気主任の転職
電気主任技術者として選任されると、中々その会社を辞めづらくなるものです。当然選任されている立場がありますから、次の候補者を早く入れてくれと上に頼むわけですが、中々面倒なのでこれも上手く行かないというケースですね。
なので転職の際は、その需要家でのお仕事があなたのライフスタイルに合っているかを十分確認したうえで入社したほうが良いでしょう。
電験三種の正式名称は「第三種電気主任技術者」ですが、転職サイト・就職サイトで就職先を探す際は、「電気主任」と記述すればOKです。
わざわざ「第三種電気主任技術者」と検索するのも面倒ですし、「電験三種」ではヒットする可能性がかなり低くなります。ただ、まれに第二種電気主任の応募もありますので、三種で電気主任のお仕事を探している方は注意。大体、その地域によっての年収相場がありますので、年収レンジを見れば大体三種か二種かは判断がつくと思います。
ハロワ経由での求職
ハローワークインターネットサービスでは、電験三種の資格コードを入力すればすぐに出るので、資格コードを覚えておくと便利です。
このように入力すればOK。
資格コードは「1205」です。
(ハロワのコードが変わったら乙、ですが)
ハロワでのお仕事探しのメリットは自分のお住いの地域での仕事を探しやすい点ですね。都合により地元を離れることが出来ないといった場合、活用するのもよいでしょう。
求職エージェントを通す
私はこの求職エージェントを通しました。とりあえずインディードなどの求人サイトで求職案件を探し、その案件に応募するもよし、他のお仕事を紹介してくれという流れでもよし。
求職エージェントと親密になれば、色々と情報を頂けることになります。電験二種を取得されているならば、複数のエージェントから「うちに登録してください」とお声がかかります。インディードなどで公開されている求人というのは一部なので、彼らエージェントが抱えている非公開の求人も紹介してもらえるようになりますよ。
そういった非公開求人は会社名こそ有名ではないものの、待遇や給料面で優遇されていることも多く、お勧めです。
人の紹介というのは止めたほうが良い
私は人の紹介で入社したことがあります。が入社に至るまでにいろいろといざこざがあり、1年ほども伸ばされました。「頼む、うちにきてくれ。もう少しだから、もう少しで手続き終わるから」と延々と引き延ばされたんですね。その間に、エージェントから今思えばとてもよい求人の案内を蹴ることになり、人生にかなり深い痛手を負いました。
挙句の果てに、入社前に聞いていた待遇・境遇と違い、給料も聞いていたものよりも100万円ちかくも低く、転職する前より給料が下がってしまいました。
しかも仕事内容も聞いていたものとはかなり違って、「こんなはずではなかったなぁ」と非常に後悔した経験があります。人からの紹介ということもあって仕方なく耐えていましたが、無理に転勤させられ知り合いも誰もいない場所で一人耐え続けることに耐えかねて、再度転職する羽目になりました。
このようなことから、「人からの紹介」という場合の仕事は、紹介してくださった方の顔を立てる必要があるため辞めづらく、また待遇・境遇・給料が聞いていたものと違っても断りにくい、という悲惨な状態になりかねないので、お勧めしません。絶対に避けるべき、とも言えます。
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